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マンションの民泊は管理規約で決まる|第12条の確認手順と禁止時の選択肢

この記事でわかること

  • 管理規約のどこを見れば民泊の可否が分かるか(第12条第2項)
  • 規約に何も書いていない場合はどう扱われるか
  • 規約で禁止されていると届出そのものが受理されないこと
  • 規約を変えて民泊を可能にする手続きと、決議に必要な賛成数
  • 禁止されていた場合に残っている選択肢

分譲マンションの一室で民泊を始められるかどうかは、管理規約で決まります。用途地域や消防設備をどれだけ調べても、規約で禁止されていれば届出は受理されません。ここでは国土交通省の「マンション標準管理規約」と「分譲マンションにおける民泊トラブル対応に関するガイドブック」をもとに、規約のどこを見るか、書いていない場合はどうなるか、変えるには何が要るかを順に説明します。民泊運営代行10年以上の民泊サポートがまとめました。

▼ 先に結論

  • 見るのは管理規約の第12条(専有部分の用途)第2項。標準管理規約に沿った規約なら、ここに可否が書かれています
  • 規約で禁止されている場合、保健所は届出を受理しません。物件を押さえる前に確認してください
  • 何も書いていない場合は「可能」とは言い切れません。とくに旅館業(簡易宿所)は、明記がなければ認められない可能性が高いと解されています
  • 規約を変えるには総会の特別決議が要ります(出席者の4分の3以上)。簡単ではありませんが、不可能でもありません

まず管理規約の第12条を見る

国土交通省が公表している「マンション標準管理規約」(最終改正:令和7年10月17日)は、第12条で専有部分の使い方を定めています。第1項が「専ら住宅として使用する」という原則で、第2項に民泊の可否が書かれます。

標準管理規約では、可能とする場合と禁止する場合の2つの条文例が示されています。

民泊を可能とする場合 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる。
民泊を禁止する場合 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。

お手元の規約がこの形になっていれば、「することができる」か「してはならない」かの一語で判断できます。規約は管理会社か管理組合の理事長が保管しています。売買のときは重要事項説明の添付書類として渡されます。

規約に何も書いていない場合はどうなるか

民泊について一言も触れていない規約は珍しくありません。このとき「禁止されていないから自由にできる」と考えるのは危険です。

標準管理規約のコメント(第12条関係)は、次のように述べています。

住宅としての使用は、専ら居住者の生活の本拠があるか否かによって判断する。したがって利用方法は、生活の本拠であるために必要な平穏さを有することを要する。

住宅宿泊事業については、可能か禁止かを明記することが望ましい。また、旅館業法第3条第1項の簡易宿所の許可を得て行う「民泊」については、旅館業営業として行われるものであり、通常は第1項の用途に含まれていないと考えられるため、可能としたい場合には、その旨を明記することが望ましい。

出典:マンション標準管理規約(単棟型)コメント 第12条関係

ここから2つのことが言えます。

住宅宿泊事業(民泊新法) 明記がない場合はグレーです。「生活の本拠があるか」「平穏さがあるか」で判断されるため、家主不在型で不特定の人が出入りする形は、争いになれば不利に働きます。管理組合に確認してください。
旅館業(簡易宿所) 明記がなければ、できないと考えるほうが安全です。「通常は第1項(専ら住宅として使用)の用途に含まれていない」とされているため、可能にするには規約への明記が要ります。

なお同じコメントは、「旅館業法や住宅宿泊事業法に違反して行われる事業は、管理規約に明記するまでもなく、当然に禁止されている」とも述べています。無届の民泊は、規約の書きぶりに関係なく認められません。

規約で禁止されていると、届出は受理されない

見落とされがちですが、これが実務上いちばん重要です。国土交通省のガイドブックは、管理規約と届出の組み合わせを次のように整理しています。

管理規約 届出 扱い
禁止している なし 違法
禁止している 出そうとした そもそも受理されません(届出には規約の写し等の提出が求められます)
可能としている なし 違法
可能としている 受理済 適法

無許可で旅館業を営んだ場合、旅館業法第10条により6月以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になります。また管理組合は、区分所有法第57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)や標準管理規約第67条(理事長の勧告及び指示等)に基づいて是正を求めることができます。

確認する順番

STEP 1

管理規約の第12条第2項を読む。「することができる」か「してはならない」か

STEP 2

書いていなければ管理組合に確認。使用細則にある場合もあります

STEP 3

可能なら、用途地域・条例・消防を調べる(下で解説)

※ 購入前なら、重要事項説明で管理規約の写しを求められます。契約後に判明すると取り返しがつきません。

規約を変えて民泊を可能にするには

禁止されている、あるいは書かれていない規約を変えるには、総会の特別決議が必要です。建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)第31条は、規約の設定・変更・廃止について次のように定めています。

規約の設定、変更又は廃止は、集会において、区分所有者の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数による決議によってする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。

出典:建物の区分所有等に関する法律 第31条第1項

実務では、次の点が壁になります。

  • 総会は通常1年に1回。臨時総会を開くには理事会の合意が要ります
  • 民泊は反対されやすい議題です。騒音・ゴミ・防犯への不安が先に立ちます
  • 可能にする方向の変更は、1戸のためだけの提案と見られると通りません。マンション全体にとっての利点を示す必要があります

なお国土交通省は、令和7年の区分所有法改正と標準管理規約改正を受けて、「管理規約を改正しないままでいると、規約に書かれている内容に沿った総会の招集・会議の運営が違法となるだけでなく、その総会で決議された内容が無効とされるおそれがある」として、規約の見直しを呼びかけています。規約の改正を検討している管理組合であれば、民泊の可否を明記する議論も同時に持ち込める可能性があります。

禁止されていた場合に残っている選択肢

規約の変更を働きかける 上記のとおりハードルは高いものの、管理組合が規約の全面見直しを進めている時期なら議論に乗せられることがあります
マンスリー・ウィークリーに切り替える 1か月以上の賃貸借なら旅館業にも住宅宿泊事業にも当たりません。ただし規約が「住宅としての使用」を求めている点は同じなので、転貸の可否とあわせて確認が要ります
戸建てや一棟物件に変える 区分所有でなければ管理規約の制約はありません。用途地域と条例の確認に進めます
売却して組み替える 民泊を前提に購入した物件が使えないと分かった場合、早い段階で判断したほうが損失は小さく済みます

規約さえ通れば進められるのか、それとも物件を変えたほうが早いのかは、立地と条例の条件で変わります。営業日数を制限する条例がある自治体か、学校・児童施設から100m以内かもあわせて確認してください。

分譲マンションと賃貸マンションの違い

分譲マンション(区分所有者)の場合

分譲マンションで民泊をおこなうのは、基本的に区分所有者(部屋の購入者)自身です。

部屋は自分の所有物ですが、共用部(廊下・エレベーター・エントランスなど)はほかの居住者と共同で管理するもの。

民泊によってゲストが共用部を頻繁に出入りすることは、他の区分所有者の共同生活に影響を与えます。そのため、管理組合の決議(多くの場合、総会での特別決議)が必要になる場合があります。

管理規約に明確な規定がないままで民泊を始めると、後から住民総会で禁止決議が下され、運営継続が難しくなるリスクもあるでしょう。

賃貸マンションの場合

賃貸マンションの借主が民泊をおこなうケースは、前述の転貸の問題が核心になります。

一方で、マンションのオーナー(大家)が一棟丸ごと民泊として運用する形態は、また別の整理が必要です。この場合は旅館業法または住宅宿泊事業法のどちらに基づいて届出・許可を取るかの検討が先行します。

いずれにせよ、「誰が」「誰の物件を」運営するのかによって、必要な手続きが異なってきます。

必要な許可・届出とマンション特有の要件

住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出

住宅宿泊事業法に基づく民泊(年間180日以内)であれば、都道府県知事等への届出が必要です。

届出自体は比較的シンプルですが、管理規約の「民泊禁止の規定がないこと」を確認する書類提出が求められます。分譲マンションの場合は管理規約の写し、管理組合の決議内容が確認対象になることがあります。

消防設備の設置基準

マンションの民泊では、消防法に基づく設備の整備が必要です。

具体的には、自動火災報知設備、誘導灯、消火器などがあり、部屋の広さや建物の構造によって求められる基準が変わります。既存の設備で基準を満たしているか、消防署への事前相談で確認しておくと安心です。

オートロックと鍵の受け渡し問題

マンション特有の課題として、オートロックと鍵の受け渡しがあります。

チェックインのたびに対面対応するか、キーボックス・スマートロックを活用するかを決める必要がありますが、マンションによっては共用エントランスへのキーボックス設置を禁止している場合もあります。

設置方法について事前に管理組合に確認し、承認を得ておくことが欠かせません。

ゴミ出しルール

マンションのゴミ置き場は、居住者が共同で管理するものです。

頻繁に入れ替わるゲストが正しくゴミ出しをできるか、またゴミの量が増えることへの近隣の懸念は、小さなようで実際には大きなトラブル要因になりがちです。

ゲスト向けの説明資料を整備し、チェックアウト前日にゴミをまとめて処理するルールを設けるなど、運用ルールの工夫が必要でしょう。

近隣・管理組合とのトラブルを避けるには

事前の情報共有が最大の予防策

最も多いトラブルは、「知らない人が何人もうちのマンションに出入りしている」という不安から始まる苦情です。

民泊を始める前に、管理組合や管理員に対して運営方針を説明し、連絡窓口を明確にしておくことが、苦情の芽を事前に摘む最大の方法です。

ハウスルールとゲスト管理

ゲスト向けに、共用部でのマナー(大声、深夜の騒音、ゴミ出し)を明記したハウスルールを作成し、予約確定時に必ず確認させる仕組みを設けましょう。

英語・中国語・韓国語など多言語での表記があると、外国人ゲストへの伝達漏れも減らせます。

トラブル発生時の対応体制

騒音・ゴミ・備品破損などのトラブルが起きた場合、すぐに連絡が取れる窓口(自分か管理会社か)を明確にしておくことが重要です。

管理会社に委託する場合は、トラブル時の対応範囲・対応時間帯・損害が発生した場合の補償フローを契約前に確認しておきましょう。

マンションで民泊を始めるまでの流れ

管理規約の確認

まず規約書を確認し、民泊に関する記載の有無をチェックします。

管理組合への確認・承認申請

規約に禁止の明記がなくても、管理組合に事前相談・申請をおこないます。場合によっては総会での承認が必要になります。

自治体・消防署への事前相談

物件所在地の自治体に条例規制がないか確認し、消防署にも設備要件を相談します。条例によっては住居専用地域での営業日数制限などが課せられるケースがあります。

届出書類の準備・提出

住宅宿泊事業法の届出に必要な書類(管理規約の写しなど)を揃え、都道府県等の窓口に届出します。

設備・オペレーションの整備

消防設備、鍵の受け渡し方法、ゴミ管理ルール、ゲスト向けハウスルールを整えます。

OTA(予約サイト)への登録・運営開始

届出番号を取得後、各プラットフォームに登録して受け付けを開始します。

よくある質問

管理規約に民泊についての記載がない場合は、始めてもいいですか?

「記載がない=許可」とは言えません。住居専用の条項や、専有部分の用途制限から「民泊は禁止」と解釈されるケースがあります。管理組合に書面で確認を取り、回答を記録に残しておくことを強くお勧めします。

分譲マンションを賃貸に出しているテナントが民泊をしていた場合、区分所有者はどう対処できますか?

賃貸借契約に転貸禁止条項があれば、契約違反を理由に契約解除を求めることが可能です。まず賃借人に対して書面で是正を求め、それでも改善しない場合は法的手続きを検討することになります。管理会社や弁護士に相談するのが現実的な対処策です。

民泊新法の届出をしていれば、マンションの管理規約に違反しても問題ないですか?

法律上の届出と、管理規約の遵守は別の話です。届出が受理されていても、管理規約に違反していれば管理組合から差し止めを求められる可能性があります。法律と規約の両方をクリアすることが前提です。

管理費や修繕積立金の負担は民泊を始めると増えますか?

基本的な管理費・修繕積立金の額は変わりませんが、ゲストの出入りによる共用部の劣化や清掃コストの増加を理由に、管理組合から追加費用や協力金の請求が議論されるケースも出始めています。管理組合との協議の中でこの点も確認しておきましょう。

マンションの部屋を丸ごと民泊運営したいが、自分は別の場所に住んでいる場合でも届出できますか?

できます。ただし、住宅宿泊事業法に基づく民泊(年間180日以内)の場合、住宅宿泊管理業者への委託が義務付けられており、届出とあわせて管理業者との契約が必要です。

まとめ

マンションでの民泊は、「法律をクリアしているか」に加え、「管理規約と管理組合の承認を得られているか」が最重要の確認事項です。

この2つを曖昧にしたまま進めると、後から運営停止を余儀なくされるリスクがあります。

管理規約の解釈や条例の規制内容は物件ごと・自治体ごとに異なります。「おそらく大丈夫だろう」ではなく、管理組合・自治体・消防署のそれぞれに直接確認を取ることが、長く安定して運営するための土台になります。

最初の一歩である規約確認をしっかりおこない、必要な手続きを一つひとつ踏むことが、トラブルのない民泊運営への最短ルートです。

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